輸送品質とサービス向上を実現する 新システムのMDMにMobileIronを 採用!

業界: 輸送

プライベートクラウド+タブレット端末で輸送品質向上を実現

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)では、2013年6月から全乗務員(運転士・車掌)がタブレット端末 を携行する取り組みを開始した。約7000台のタブレット端末には従来は紙で携行していたマニュアルを 電子化したものとともに、輸送障害時の迅速な対応に役立てるためのツールが入っている。このシステムの 構築と運用を担当したのが、グループ会社であるジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社だ。

1989年に建設コンサルタント会社として設立された後、輸送計画から建築、電気等を含めた鉄道業務 の総合コンサルタントへの業務を拡大したジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社が近年手がけて きたのが、鉄道業務に関わる情報のクラウド化だった。

「どの列車がどこにいるのか、どこでどれだけの遅れが出ているのかといった情報を、駅員や乗務員には 運転を指令するところから音声で知らせます。乗務員の担当列車に変更がある場合の変更時刻表はFAX で送られたものを手渡しです。いずれも即時性に欠けます。お客様サービスの向上と輸送品質の向上に は、情報のクラウド化と、それを現場で受け取って活用できるタブレット端末の導入が必要だったのです」 と語るのは、ジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社 理事 ICT事業本部の部長である小林三昭氏だ。

クラウド活用に関しては、事業者の提供するクラウドサービスを利用することはセキュリティポリシー上 許されないため、幅広い情報活用を目指したプライベートクラウド「クラウドレール」を構築済みだった。 その情報を活用する1つのツールとして、乗務員がタブレット端末を利用する「乗務員タブレット」が作られた。 ジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社は、システムの受託開発および、導入業務と、導入後の運用・ 保守を担当している。

ミッションクリティカルな現場で用いられる「乗務員タブレット」とMobileIron

「クラウドレール」は多彩な情報を保有している。その中で「乗務員タブレット」で活用されるのはごく 一部の情報だ。具体的には、乗務員に携行が義務づけられているマニュアルを電子化したものと、遅延が 発生した際の変更時刻表の配信に活用される。

「以前は2kg以上あるマニュアルを携行していましたが、これが電子化されて400g程度になりました。 また、FAXの手渡しだった変更時刻表も、タブレット端末への配信になります。乗務員の荷物は軽くなり、 マニュアルの管理・更新作業も効率化され、列車の運転復旧も迅速になるとうわけです」と小林氏。マニュ アルの閲覧制が向上したことで閲覧機会が増え、乗務員の能力向上も期待できるという。こうしたミッション クリティカルな現場でのタブレット端末活用のために、MobileIronも導入された。

取り組みは2012年春にスタートした。輸送障害時の対応におけるタブレット端末の活用検討を行った JR東日本からの受託開発という形で開発に着手。2012年10月から2013年1月にかけて85台のタブレット 端末を利用して湘南新宿ラインで試行を実施した。

「首都圏の長い区間を走る線区で、関係する路線も多いことから非常にダイヤが乱れやすく、厳しい線区 です。ここで効果が出るならばどこでも使えるだろうということで、試行を行いました」と小林氏は語る。

試行中、2013年1月の大雪が効果を感じる決定打となった。「ダイヤが大幅に乱れた中、現場で大きな 効果が感じられたようです。当初は首都圏の限られたエリアから利用を始める予定でした。ところが、それ ほどよいものならば全体で使うべきだとJR東日本が判断し、思いがけず約7000台の大規模展開になった のです」と語るのは、ジェイアール東日本コンサルタンツ株式会社 ICT事業本部 担当部長 JRCクラウド センター  所長 兼 システムインテグレーションユニット長である高桑靖匡氏だ。

以前は担当乗務員の居場所を確認してからFAXによる送付を行っていたが、タブレットに直接変更時刻表 が送付できるようになることで、5分程度の時間短縮が見込めるという。

タブレット端末の業務専用端末化とセキュアアプリ配信

「ユーザーの使い勝手」を第一としたモバイル活用と他部門への横展開 運用自動化とレポーティングツールによりMDMの保守管理を最適化。

緊急時の変更時刻表への利用は2013年10月からだが、すでに現場から は用途拡大の希望が出てきているという。「タブレットは使い始めるといろ いろなことに使える。だからこれは特定システムの端末ではないのです」と 語る小林氏は、将来的な機能拡張も十分考えているという。

業務情報を一般端末で閲覧するということ自体がセキュリティポリ シーでは受け入れられなかったという過去の状態から、タブレット端末を 業務活用するということへの変化を可能にしたのは何だったのか。

「業務情報をそのまま出すと思うからダメだった。社内にある情報を コピーして、セキュリティポリシーに合った状態で出力できるものをクラウド レール上に置くことでまず情報のクラウド活用を実現しました。これを タブレット端末から使うためには当然相応の管理が必要ですから、MDM を導入することは当初から考えていました」と小林氏は語る。タブレット 端 末に適 切な制 限を加え 、業 務 端 末 化するために選 ば れたのが MobileIronだった。

「社内での検討も行った上で、必要な機能のマトリックス表を作りさま ざまなMDMを検討しました。その上で、日本でのサポートもきちんと行って もらえるということもあり、MobileIronを選定しました」と小林氏。

実際の運用では、業務に利用するマニュアル閲覧用と、緊急時の変更時 刻表を受信する2アプリだけをセキュアに配信することで、タブレット端末 を業務端末化している。

「セキュリティのためと、乗務員が業務外のことに利用しないようにする ための2点を考えて制限を行っています」と高桑氏。乗務員は衆目に晒さ れた状態で業務を行うため、厳しい管理を行う必要があるのだという。

運用自動化とレポーティングツールによりMDMの保守管理を最適化

乗務員タブレットとしては最終的には約7000台のiPad miniが利用 される予定だが、MobileIronの自動化機能なども活用し、効率的な サポートを実現している。

「基本的にルール外のアプリをインストールできないように設定して あります。また、端末数は約7000ですが、乗務員は乗務員区所に所属して いるため直接問い合わせはまず乗務員区所に行くのです。そこから問い合 わせや対応依頼が来るのが我々のサポートなので、実際はJR東日本管内 93区所が直接のお客様というイメージになります」と高桑氏は語る。

また、ユーザー管理にはMobileIronの管理用ツール「Atlas」を活用して いる。端末をグループごとにまとめて管理し、必要項目のみをダッシュボード上に表示するなど、細やかな管理機能を提供する「Atlas」が、約7000台 のiPad  miniを効率的に管理することに役立っているという。

「最初は約7000台分の端末情報がずらりと並んで非常に管理しづら かったのですが、グループごとに表示できるようになって扱いやすくなり ました」と小林氏は導入効果を語った。

「ユーザーの使い勝手」を第一としたモバイル活用と他部門への横展開

JR東日本では2012年10月から「グループ経営構想V~限りなき前進~」を策定し、ICTを活用した現場第一線における業務革新による輸送品質 とサービス品質の向上を目指してきた。そのあらわれがジェイアール東日本 コンサルタンツ株式会社の構築した「クラウドレール」であり、それを活用 してiPad miniの現場利用を実現した「乗務員タブレット」だ。当然、乗務員 にタブレットを持たせただけで全ての目的を達成したというわけではない。

「すでにいくつか、タブレットを活用したいという話は出ています。しかし 実現にあたってはセキュリティポリシーと照らして運用を考えなければ なりません。たとえば設備系の現場の人間が使うのと乗務員では取り扱う 情報もセキュリティポリシーも変わってきます。グループ会社も使うという ことになれば、さらに複雑です」と小林氏は語る。

関連会社までを含めると非常に多彩な働き方があるため、各職ごと、 部門ごとに閲覧すべき情報を切り分けて見せ方を変える機能が必要だ。 MobileIronは複数のセキュリティーポリシーを並行利用できる機能を 持っているが、こうした機能は部門を越えた横展開時に必須となる。

幅広い部門から利用が望まれる理由の1つは、セキュリティポリシーを きちんと守りながらも、現場での使いやすさも重視していることだろう。

「条件が厳しい中でも、やりたいことを実現する工夫が重要だと考えて います。緊急時の変更時刻表配信も、従来通りにデータを出力したものを FAXする感覚でiPad miniに送付する形をとりました。これによって、大本 のシステムには手をつけず、乗務員タブレットの迅速な稼働を実現すると ともに、現場のオペレーションを変化させずに済ませることができました」 と小林氏。

社内システム効率化よりも、輸送品質の向上やお客様サービスの向上 を優先しているシステムだ。強固なセキュリティと現場の使い勝手という ものは対立しがちではあるが、高品質な輸送サービスを提供するには この両立は欠かせない。そこを一歩踏み込んで始められたのがジェイアール 東日本コンサルタンツ株式会社の提供する「クラウドレール」であり、「乗務員タブレット」だ。セキュリティと使い勝手を両立させるシステムに、 MobileIronも貢献している。