モバイルフォースの覚醒:2016年はカオスの年

Mobile Threats: Every Tool Is a Weapon If You Hold It Right

(この資料は、モバイルアイアン戦略担当バイスプレジデント、オージャス・リジェによるブログの抄訳です。)

映画『スター・ウォーズ』が最初に公開されたのは、私が小学校6年生のときでした。ストーリーも登場人物も大好きで、5回も観たのを覚えています。先週スター・ウォーズの新エピソードが公開されたので、ここではそれにちなんで、2016年のエンタープライズモバイル予測を行いたいと思います。
2016年は戦いに満ちた年となるでしょう。「モバイルフォース」が覚醒した今、それに伴うITディスラプション(ITによる既存モデルの破壊)によって以下のような摩擦が生じます。

  1. 反乱同盟軍vs.帝国:スター・ウォーズ最大の戦いが、権力者とそれに敵対する組織の間で繰り広げられてきました。2016年、エンタープライズITの世界でも、モバイルとデスクトップチームの間でこれに似た状況が発生します。このきっかけとなるのがWindows 10で、組織はエンタープライズモバイル管理(EMM)ソリューションを導入し、次世代のラップトップやデスクトップのセキュリティを確保できるようになると予測されます。従来のシステムイメージよりも、このアプローチのほうがセキュリティ、アジリティ(機敏性)、コストパフォーマンスの点で優れているので、今後このアプローチへの移行が進むと思います。ただし、既存のデスクトップ運用を混乱させることにもなるため、「反乱軍」であるモバイルと、「権力者」であるデスクトップチームの間に技術面や予算面、また組織的に摩擦が生じます。これはモダンvsレガシー、すなわち新旧の戦いです。
  2. アイデンティティ(ID管理)の対立:スター・ウォーズ・ファンの間では、ルーク・スカイウォーカーのアイデンティティの変化について賛否両論あるようです。今回のエピソードでは、ジェダイとシスのどちらに傾くのか、みな注目しています。エンタープライズでも多くのベンダーやアプローチを巻き込んで、アイデンティティの戦いが勃発しています。主なプレイヤーはMicrosoftとGoogleで、この戦いは今後長い間続きそうです。2016年には両社の対立がより鮮明になることでしょう。両社ともに、アイデンティティ(ID管理)がユーザーコミュニティに参加するサービスの基盤となると信じています。また自社のプラットフォームがアイデンティティ(ID管理)における信頼できるソースであれば、他社よりも良いサービスを提供できる可能性が高いと考えている点でも共通しています。2015年、MicrosoftはGoogleによるAndroid for Workをほとんどサポートしませんでした。なぜならAndroid for WorkによってGoogleアイデンティティが企業に入り込まれるというのが一つの理由です。Microsoftはアイデンティティを、すべてのエンタープライズサービスの「who / what / where / how」を司る、クラウドの中心的な存在と考えています。これはエンドユーザーのアイデンティティをつかむための戦いです。
  3. ボバ・フェットとモバイル・ハッカーの増加:オリジナルのスター・ウォーズ3部作では、暗い過去を持つ登場人物がキャスティングされることが多く、 それが善人になるケース(ハン・ソロ)も、 そうでない場合(ボバ・フェット)もありました。一方、モバイル分野でも悪者が増え、2015年にはStagefright、KeyRaider、XcodeGhost、YiSpecterといった一連のエクスプロイトに代表されるような、モバイルマルウェアの被害がかつてないほど増加しました。2016年もハッカーはさらに巧妙化して、「信頼できる」アプリに見せかける方法を編み出すでしょう。その結果、特にAppleはデバイスへのアプリ配信に関する信頼性を今後も高め、プライベートAPIの利用を非常に厳格化することが予想されます。これはOSとハッカーの戦いです。
  4. IoTのフォース適性:スター・ウォーズでは、フォースは銀河系を一つに繋ぐものであり、その習得は難しいとされています。一方、技術の世界でこういった連携の仕組みにあたるのがモノのインターネット、IoTと呼ばれるものです。IoTのほとんどは2016年もしばらくは引き続き実験段階に留まり、導入を宣言するベンダーも実際に製品がどういうものになるか明確にできるところは限られるでしょう。2016年末までには付加価値の高いIoTの使用事例が登場し、2017年に入るとベンダー各社が便利なソリューションを商品化し始めると考えられます。IoTの一種であるスマートウォッチは、シンプルで手頃な価格で入手できる拡張アプリの第1世代として、2016年にその潜在力を発揮し始めるでしょう。その後、新たなフォームファクタとインタラクション方法を最大限活用した第2世代が台頭します。強力なデータスナッキング(小容量のデータを数多く取り込むこと)モデルは、自宅だけでなく、職場でも見られるようになりますが、エンタープライズにおけるIoTイノベーションによって、開発者は単に既存のアプリを新しいプラットフォームに移植するだけでなく、ビジネスプロセスの再考を要求されることになると予測されます。これは発明と惰性の戦いです。
  5. クラウドシティの統治権:オリジナルのスター・ウォーズ2作目『帝国の逆襲』の大半は、ランド・カルリシアンのクラウドシティが舞台になっています。クラウドシティは密輸業者達が暗躍する統治のあいまいな独立国家でしたが、そこには帝国が求める知識と資産があり、その点において「クラウドコンピューティング」と似ています。2015年、私達の業界ではクラウドの統治権争いによって、欧州裁判所がセーフハーバー協定無効判決を下すという事態が発生しました。2016年には、こういったクラウドデータへの詮索や監視がさらに厳しくなることが予想されます。規制当局は対応を検討し、その動きによっては、クラウドベンダーのスケーラビリティやイノベーション力に影響する可能性もあります。これは規模と統治権の戦いです。
  6. 内なる平和:心の平穏に達していない者は、真の意味でフォースを活用することはできません。2016年にはモバイルコミュニティ全体で、このような心の平穏に達することができるのでしょうか。それはどうやら無理そうです。技術の急激な変化、ユーザーニーズの進化、アプリの断片化が今後も続くでしょう。CIOはモバイル管理において中立性を維持することがミッションにおける重要ポイントだと理解し、エンドユーザーに対して選択肢を提示し、ベストオブブリード(分野ごとの最適なベンダー)のソリューションを提供しなければなりません。選択肢を限定してしまうと、ユーザーコミュニティは独自にソリューションを模索することになり、いつしかシャドーITを促進する要因となってしまいます。これはベストオブブリードと同一ベンダーの戦いです。

 

2016年はITにとって厳しい年になると予測されます。モバイルとクラウドの普及により、CIOは情報セキュリティ、ポリシーの設計、技術評価、ライフスタイル管理の点でアジリティの高いモデルを採用せざるを得なくなります。ただし、先進的な組織でさえ30年間培ってきたプロセスとマインドを変えるのは容易なことではありません。
勇気を出してこの進化に取り組み、新たなアプローチをオープンに検討することをお勧めします。そうすれば年末年始には新しいスター・ウォーズ映画を観に行き、気分も新たに2016年 ―エンタープライズモバイルトランスフォーメーション元年― を迎えることができるでしょう。