業務端末としてiPadを活用するためのさまざまなチャレンジ

BALSは1990年の創業以来、毎日の生活を豊かにする、インテリア雑貨などを扱うショップを展開 してきた。根底にある考え方は「VALUE by DESIGN」。社名自体も「BASIC」、「ART」、「LIFE」、「STYLE」 の頭文字をとってつけられたもので、ユーザーの生活に彩りを添えるデザインの提案を行なう企業で あることがよくわかる。

洗練されたものを好むBALSは、iPadが日本で販売され始めた頃から強い興味を持っていたと いう。これまでにさまざまな形でiPadの業務活用を検討し、実際に導入してきた。しかし、中には うまく行かないものも多かったようだ。

「役員が外出先でメールチェックや承認業務を行なうにあたって、フィーチャーフォンからiPhone に切り替えたのが、モバイルデバイス導入の始まりでした。これは現在も使われています。しかしその 後、2010年頃に店頭で紙カタログの代わりに利用するデジタルカタログデバイスとしての導入は 失敗でしたね。オシャレで店頭用にはよいと思ったのですが、紙カタログは廃止できず回線コストも かかるため総合では経費負担が増えただけでしたし、当時はMDMを導入していなかったので盗難 された端末もありました」と語るのは、BALS 管理本部 情報システム部の忽那一賢氏だ。

店頭に配布したiPadは全回収。その後、2012年からは外回りの多いエリアマネージャーが担当 店舗の売上げをリアルタイムで把握できるようにするために独自アプリを開発した。これは現在も 順調に使われているという。

「売上速報は成功ではあったのですが、利用している人数が社内のごく一部であるため社としての インパクトには欠けました。店頭在庫検索なども考えたものの、使われなくなってしまいました。
いくつか のチャレンジの中から成功のためにはシンプルな機能でスモールスタートするのではなく、ユーザー の立場になって導入をしないとダメだと感じましたね」と忽那氏は語った。

BYOD導入時に使いやすいEMMとして「MobileIron」を選定

いくつかのチャレンジの後、BALSが本格的なモバイルデバイス活用に乗り出したのが2014年3月 だった。会社貸与としてiPhoneを導入していたものの一部ユーザーに限られていたため、貸与されて いない外出が多い業務や時短勤務者を対象にBYODを認めることにした。

「情報セキュリティ管理規定を見直しをしました。BYODを認めているのはシステム関連の サポート業務などで24時間365日の対応が求められる人と、週2.5日以上の外出をする人、そして 育児中などの時短勤務者です。今は20人弱の少人数ですが、優秀なママさんスタッフに働き続けて もらうためにも必要な取り組みでした」と忽那氏。

この導入にあたって、BALSでは初となるEMMツールの導入も行なわれた。選定時に重視された のは、マルチOS対応が可能なことだったという。具体的にはBYODを認めるiOSおよびAndroid 端末のサポートと、店舗で今後利用を強化する予定のiPadや本社でデザイン業務を担当するスタッフ が利用するMacをトータルで管理する必要があった。

「会社支給のiPhoneは、キャリアのサポートデスクを利用するためにキャリア提供のMDMを利用 しています。問題はそれ以外の端末でした。Windows端末はドメインに参加させればよいのですが、 Macは問題も多く難しかったのです。やりたいことはパスワードポリシーをMacにも配りたいのと、 BYOD端末を管理したいというEMMとしてはシンプルな要求でしたが、あまり選択肢はありません でした」と忽那氏は語る。

そこで採用されたのが、MobileIronだ。マルチOSへの対応という要求に応えることができる 上に、操作感がよいことが決め手になったという。

「国産製品を使い始めて、最初の設定で挫折してしまいました。どうもメニューなどが分かりづらく、何ができる機能なのか、やりたいことを実現するために何をすればいいのかがわからなかったのです。 MobileIronはその点、ものすごく使いやすかったのです。バージョンアップが頻繁なだけに詳細な マニュアルもないのですが何をどうすれば何ができるのかがわかりやすい。グローバルで使われて きた集大成だなと感じました」と忽那氏は絶賛している。

マルチOS管理やセキュアメーラーなどを活用

BALSが利用しているMobileIronの機能は、基本的なMDM機能とパスワードポリシーの配信が メインだ。パスワードポリシーは厳しく設定しており、BYODでスマートフォンを利用しているユー ザーにとっては少々負担のあるルールだが、タッチIDを有効にしておくことでiPhoneをBYODして いるユーザーの負担軽減を行なっている。

BYOD端末からのメール利用にはMobileIronが提供するセキュアメールソリューション「Email+」を採用している。BYODで必要となる基本的な機能を利用しているといってよいだろう。 一方で、BYOD導入時に課題となりがちなリモートワイプについては、あまり行なうつもりはないと いう。

「端末を紛失した場合、MobileIronでリタイアさせれば業務情報は端末に残りませんし、業務シス テム利用もできません。リモートワイプする必要はないですよね」と忽那氏は現場で受け入れやすく、 合理的な判断を下している。

端末状態の管理、設定の配布などもMobileIronから行なっており、積極的な活用をしている BALSだが、今後はよりいろいろな機能を利用して行きたいという意向もあるようだ。

「MobileIronはできることが実に多いと感じています。しかも、どの機能もわかりやすく、親切です。 普段使っている機能以外も、これは何ができる機能だろう、うちではどう使えるだろうと考えたりも しています。デバイス活用の未来が広がる気がしますね。とてもよい出会いでした」と忽那氏は満足げ に語った。

MobileIronが支えるBYOD拡大とデバイス活用

「BYODをきっかけに情報セキュリティー教育を強力に取り組みはじめました。全社的にも サンプル商品の扱いなどをきちんと考えなおすきっかけになっています。今後は全社的にリテラ シーの向上をはかっていきます。BYODで会社に管理される嫌悪感などはリテラシーの低さも 原因だと思うので、うまく教育して広げて行きたいですね。今後は店舗の電話なども含めて、 電話利用に関してもBYODができたらいいと考えています」と忽那氏は力強く語った。今後 BALSでデバイス活用やBYODが広がる時には、MobileIronが強力にサポートできるはずだ。