業務効率化のために1店舗1台のiPadを導入

持ち帰り弁当の「ほっともっと」や、定食を中心としたメニューを提供するレストラン「やよい軒」を展開する株式会社プレナスは、1980年以来食にこだわった事業を行ってきた。中食と外食の両面へ食のサービスを提供する形で、現在は全国に約3000店舗を展開。北米、アジア・オセアニア地区への海外進出も行っている。店舗での発注業務や労務管理にはPCを利用してきたが、業務効率化を目指して2014年秋からiPad導入の検討を開始したという。「当初はPOSとして利用することなども考えたのですが、iPadのわかりやすさなどを活かして現場業務の効率化を目指すことにしました。たとえば発注に30分かかっているけれど時間を半分にできないか、棚卸にかかっている手間をもっと少なくできないかというようなことです」と語るのは、株式会社プレナス 執行役員 IT企画本部長の漆新吾氏だ。

 利用にあたって目指した使い方は、従来PCで行っていた発注業務をiPadからも行えるようにすることと、棚卸業務の補助。そして、紙で配布していたマニュアルの電子化だった。

「調理方法や盛り付けなどのマニュアルを、動画を利用することでわかりやすくしたいと考えていました。内容もしっかり伝わりますし、店舗ごとのクオリティの差も出づらくなります。使い方を考えますと1店舗に1台で使うことを想定していました。そのための管理ツールを探した時、要件に合致するものがMobileIronしかありませんでした」と漆氏は語る。

DEPやVPN利用など条件を満たしたEMMはMobileIronだけだった

EMMの採用にあたって条件となったのは、インハウスアプリを含めたアプリの自動配信が行えること、AppleのDEPを利用した素早いキッティングが可能であること、アプリ利用時にVPN接続環境を自動的に行ってくれることなどだった。「店舗で利用する方の中には、技術的にiPadに詳しくはない方々もいます。iPhoneなどは日常で利用しているため普通に使う分には困らないけれど、このアプリを使う時には事前にこういう操作をしてVPN接続にしてくださいというような使い方では不便です。利用するアプリによって自動的にVPNを利用するか、通常のインターネット接続にするかを切り替えてくれる機能が必要でした」と漆氏は語る

また、1店舗に1台を配布するにあたって、直営店とフランチャイズ店では利用させたいアプリも変わってくる。店舗をグループに分け、グループごとに違うアプリを配信する機能も必要だった。

「基本的にタブレットは個人が使うものという前提で管理ツール(EMM)も設計されているようで、店舗(=ユーザー)に紐付ける形で使いたい我々にとってちょうどよい機能を持つものがなかなか見つかりませんでした。MobileIronは機能をすべて備えており、クラウド版は日本語で使えるということで採用しました」と漆氏はMobileIron選定の理由を語った。

実際の利用にあたっては、本社側でDEPを利用したキッティングを完了させた状態で店舗に配布している。受け取った店舗側では充電さえできていればログイン等の作業が一切不要だ。アプリも自動配信されているため、エンドユーザーはiPhoneが利用できる程度の知識さえあれば業務で困ることはないという。

「発注、棚卸はWebベース、レシピアプリはインハウスで制作、調理動画は外部のクラウドサービスをレシピアプリと連携させて活用しています。そのほかにイントラネットの社内報も閲覧できるようにしました。利用開始後に現場からのリクエストで追加したのは、マニュアルへのオペレーション動画追加や、店長研修のためのeラーニングツール、マイナンバー収集などですね。短期間で外部のクラウド型サービスを導入することができました。」と漆氏。

利用開始にあたってはインハウスアプリの制作などもあったため、半年ほどの時間がかけられた。2015年10月から実導入を開始、まずはほっともっとから展開を行い、2016年2月中にやよい軒への導入も完了。現在は店舗で利用が行われているという。

修正対応や質問への回答も迅速、機能も対応も満足

すべて設定が完了しているiPadを受け取った店舗では、必要に応じてアプリを利用する。発注や棚卸といった社内システムへアクセスするアプリの場合には、利用時MobileIronの機能で自動的にVPN接続が行われる。レシピ等、外部のクラウドサービスを利用する場合は通常のインターネット接続だ。ユーザーは意識せず、安全に利用できるようになっている。「PCも残してあるので必ずiPadを使わなければならないという状態ではないのですが、全体で見ると97~98%の利用率となっています。現場では発注時間も棚卸の時間も最大で約半分程度に短縮されましたし、動画のマニュアルのおかげで新人にも教えやすくなったと言われています」と漆氏は現場でも好評な様子を語る。

店内(主に厨房)での利用というとハードな環境になるが、防滴カバーをつけて配布することで日常的な破損はそれほど多くないという。故障が出た場合には2~3日で代替機が手配されるが、PCを残していることで日常業務に支障がない状態になっているため現場での大きな混乱はない。

またiPadは監視モードで配布しておりAppStoreの利用等はできないものの、ブラウザや地図アプリ等の利用は許可されている。一般サイトの閲覧もURLをブラックリスト管理した上で利用可能で、簡単な検索をするなどユーザーには多少の自由が与えられており、業務の助けになっているようだ。

「DEPによるセッティング、VPN接続、企業版アプリストアの利用、ユーザーグループやデバイスグループ機能による管理、URLのリスト管理などMobileIronの機能はかなりしっかり使っている方だと思います。それだけにバグを見つけてしまったことなどもありますが、動きがおかしな部分やわからない部分について質問するとすぐに修正や回答が頂けますので、対応力は非常に頼もしく感じています」と漆氏はMobileIronの使い勝手にも満足していることを語った。

EMMについては時折他社製品のテストなども行っているというが、アプリの更新速度などで満足できるものには出会えないという。「選定した頃とは違って、MobileIron以外にも我々が必要としている機能を持っているものは出てきているようですが、試してみるとアプリの更新速度や設定の反映が遅くて使えないという結果になります。その点、MobileIronは即座に反映されるので便利ですね」と漆氏。今後はほっともっと、やよい軒の店舗が増えるごとにiPadの利用台数も増え、現場業務の効率化に活躍するはずだ。