スマートな対応のためにiPadから使えるローンシミュレーションシステムを構築

フォルクスワーゲン・ファイナンシャル・サービス・ジャパン株式会社は、「フォルクスワーゲン」、「アウディ」、「ベントレー」、「ランボルギーニ」、「ドゥカティ」の5 ブランドに対してオートローン、オートリースを中心としたファイナンシャルサービスを提供している企業だ。ドイツにあるフォルクスワーゲンファイナンシャルサービスAGの100%子会社として、1990年に日本でのビジネスを開始して以来、日本市場で活躍してきた。

ファイナンシャル業務を提供する中、ローンシミュレーションや支払い見積もりを行なうシステムとして「EVAS」を構築し、ディーラーに提供してきた。その「EVAS」をリプレースし「EVAS NEXT」としてリリースしたのが2013年のことだ。以前はイントラネットに接続したPCからしか利用できないシステムだったが、新システムではインターネット経由でiPadからも利用できるものへと大きく様変わりした。

「以前のものはイントラネット経由でのみ利用可能だったので、店舗内でしか利用できませんでした。都内店舗ならあまり問題ないのですが、地方のディーラーではお客様のお宅に訪問して商談をすることもあります。外出先でシミュレーションができないのは不便だと言われていました。また以前のEVASはかなり長く利用してきたものなので、リニューアルするにあたって見映えよく、スタイリッシュなものにしたいという意味もあってiPadから利用できるようにしたのです」と語るのは、フォルクスワーゲン・ファイナンシャル・サービス・ジャパン株式会社 IT部の福元雄介氏だ。

手元のiPadで操作できるようになれば客先に出向いての操作ができるようになるのはもちろん、ディーラー店頭でもシミュレーション条件が変わるたびにデスクへ戻り、プリントした紙を手にして商談をするというようなスタイルではなく、その場でさっと対応できるようになる。より柔軟な商談が可能になるが、その分セキュリティ面での課題は増える。

「Webシステムにインターネットからシステムを利用させるのは初めてだったのでセキュリティのことは気にしていたのですが、初めてのことだけにEMMが必要だと気づくのが遅れてしまいました。機能面で信頼でき、迅速に導入できるEMMを探していた時に出会ったのがMobileIronです」と福元氏は語った。

ドイツ本社での導入実績があるmobileironを選定

当初はインターネットで検索して見つけたツールをいくつか比較している状態で、国産ツールの利用を検討していたという。手探りで検討して行く中、アドバイスを扇いだのはドイツの本社だ。

「ドイツ本社がMobileIronのユーザーだったのです。すでに利用実績があるということで機能面でも問題ないとわかっていましたし、承認もスムーズだと考えました」と福元氏。ドイツ本社に導入の打診をするためにはグローバル展開の実績がある製品が好ましいということはわかっていたが、すでに利用されているということはスムーズな導入が期待できる大きな要素だった。

現場で使われるiPadは、コストの問題もあり利用する各ディーラーが用意することとした。用途に応じてWi-Fiモデルを選択したり、キャリアモデルを選択したりといったことが自由に行えるが、ディーラーが直接購入したiPadを集中管理するということは、BYOD的な使い方をするということになる。一括調達したものを配布するよりも管理の手間はかかる可能性もあったが、これはMobileIronの認証局と電子証明書配信機能で対応ができた。

「当初から必要だと考えていたのが、リモートでのロック・ワイプとWebシステムへのアクセス制御です。アクセス制御には端末証明書を利用するつもりでしたので、MobileIronが認証局を持っているというのは大きなポイントでしたね」と福元氏は語る。

ファイナンシャルサービスを提供している5ブランドのうち、フォルクスワーゲンとアウディの2ブランドに対して「EVAS NEXT」を提供しており、管理台数としては1800台になっている。マルチキャリアのこの端末を対象に、的確に電子証明書を配信し、システム利用を可能とするシステムを約2カ月で構築する必要があった。

「EMMの検討が遅くなったため、導入期間が短くなってしまったのですが、MobileIronのパートナーにしっかりと対応してもらえました。システム構築から運用までをトータルにサポートしてもらい、24時間365日の監視・運用サービス利用しています」と福元氏は迅速な展開と運用への満足を語る。

2ブランドを分けてポリシー管理しインハウスアプリ配信にも対応

実際の利用にあたっては、フォルクスワーゲンとアウディのユーザーを分けて、別のポリシーで管理している。これは双方の利用方法が違っているからだ。特にアウディでは「EVAS NEXT」以外に販売に関わるインハウスアプリも独自制作して利用している。

「当初アウディからは、自社のインハウスアプリを自分たちで配信したいというような要望がありましたが、2種のEMMを利用するわけにも行きません。そこで2社を別のポリシーとして、私の下に各社の管理者を置いたのです。MobileIronについて、私が主たる管理者ですが、副管理者のような形で各社に管理者を置き、現場に近いところで細かい対応ができるようにしています」と福元氏は利用の工夫を語る。

実際の利用時には、ディーラーでiPadを購入した後、利用申請を行なう。この時「EVAS NEXT」とMobileIronで共通するIDを発行してもらい、それを利用してアクセスするとMobileIronの電子証明書や各種設定が配信される仕組みだ。電子証明書が入っていない端末ではEVAS NEXTのログイン画面も表示されず、強固なセキュリティを保てるようになっている。

「MobileIronは非常に使いやすいと感じています。実は慣れてきてから自分で環境構築をしてみたこともあるのですが、問題なくできました。現場からの問い合わせも、簡単な使い方については現場のエリアマネージャー等が対応しているようですが、EVASのヘルプデスクもあるのでここで十分対応できる範囲です。短期間導入という要望にも応えてくれましたし、導入や利用の中で特に困ったということもありません」と福元氏はMobileIronの使い勝手を高く評価している。

業務上の利便性を追求しWindows PCでの利用も検討中

今後の展望としては、MobileIronで管理する端末がより多彩になる方向での利用拡大が予定されている。iPadに関しては各ディーラーが必要とする台数が増えて行くだけなので大きな伸びはあまりなさそうだが、フォルクスワーゲン・ファイナンシャル・サービス・ジャパン株式会社としてはWindows PCを管理対象に加えたいと考えているからだ。

「さまざまな業務を行なう端末としてはiPadよりもWindows PCの方が使い勝手がよいシーンも多いと思います。PCで作ったドキュメントと同じフォント、同じ見た目でプリントしたいというような需要もありますから、注目しています」と福元氏。

Windows PCもMobileIronで管理できるようになれば、iPadと同じようにインターネット経由で社内システムを利用可能になる。従来はイントラネットに接続しなければ利用できなかったシステムも、新たな回線敷設等を必要とせず柔軟に利用可能になるのも期待のポイントだ。

Windows PCについてはWindows 10での十分な動作検証や現場との話し合いを経てからの導入となるが、活用には非常に意欲的だ。現場業務のセキュアな効率化に、MobileIronはますます貢献できそうだ。