個人・企業向けの保険商品販売を行う富国生命保険相互会社(以下、「富国生命」)は、顧客対応を行う営業担当者が持つ端末をWindows PCからiPadへ刷新、Web経由でオンライン試算・契約を可能にする業務最適化も実現した。そのために必要な十分な機能と高い信頼性を持つEMMとして選択されたのが、MobileIronだ。

保険営業用端末をPCからiPadへ変更

富国生命は、1923年の創業以来、個人・企業向けに生命保険業を営んできた企業だ。売り

上げではなく質を重視した経営を特徴としており、「お客さま基点」の価値観を行動・発想の原点にしているという。

1万人弱の「お客さまアドバイザー」と呼ばれる、エンドユーザーに対応する営業担当者に対して、従来から全員にノートPCを貸与していたが、リプレース時期を迎えるにあたってiPadへの乗り換えが2014年に決定された。

「以前のPCは1kgほど重量があり、厚いものでもあったため、営業資料等を持つバッグとは別にPCバッグが必要でした。次期端末は薄型軽量で扱いやすいものにしたいと考えた時、使っている人も多く親しみやすいものとしてiPadを選択しました。担当者にとってわかりやすく新端末であると感じられることで、モチベーションが向上させられるだろうという狙いもありました」と語るのは、グループのシステム開発・運用を担当するフコク情報システム株式会社(以下、「FIS」) ICTインフラサービス部 部長の小宮秀泉氏だ。 

従来端末では盗難・紛失に備えて、端末に保持しているデータを無効化させるための通信機能は持たせていたが、基本的にはオフライン運用を行っていた。営業担当者は毎朝オフィスで必要となる資料をダウンロードし、画面上で見せるという手法だったため、客先で急遽契約内容の変更等が生じると再訪問が必要になっていたという。

「iPad導入に合わせてWebシステムを稼働させ、オンラインでの資料閲覧、試算、契約等を可能にすれば、ローカルにデータを残さずに済みます」と小宮氏は、利便性と安全性の両面が向上することを狙ってのiPad導入であったことを語った。

機能充実と豊富な実績・信頼性を重視してMobileIronを選択

2014年に導入が決定されたものの、実際に業務利用が本格的に開始されたのは2018年1月のことだ。この間、十分な検証はもちろん、トレーニングに多くの時間が割かれた。

「2017年10月に端末を配布し、12月までの3ヶ月間は支社ごとのセミナー等も行いつつ、旧端末と併用でのトレーニング期間としました。マニュアルも作成し、紙とデータの両方で全員に配布するなど使い始める前の準備はしっかり行いました」と語るのは、FIS ICTインフラサービス部 ICTインフラ設計グループ プロジェクトマネージャーの白坂優児氏だ。

入念な準備の段階で、EMMの検討も行われた。複数製品について機能や実績、サポートについての比較検討を行った結果、選択されたのがMobileIronだった。

「基本的な端末管理に加えて、遠隔からのロックやワイプといった紛失時の対応、ネイティブアプリの配信、証明書のプッシュ配布といった機能が必要だと考えていました。最終的には機能面で証明書の配信機能がしっかりしていることが決め手となりました」と白坂氏。

小宮氏も「クラウドはMobileIronの中では新しい製品なので少し悩みましたが、MobileIron自体がEMM製品としてはメジャーで実績も多く、信頼できると感じました」と選定の理由を語る。

導入設計等はインフラ系システム等で長年のつきあいがあった株式会社日立製作所(以下、「日立製作所」)が担当。平時の運用はDEPを利用した基本的なキッティングなど一部を日立製作所が受け持つものの、基本的にはFISが行っているという。

既製アプリや他社認証局&VPNとMobileIronを連携

「重要な個人情報を多く扱う事業であるため、クラウドサービスの利用にはまだ抵抗感があります。しかし一部問題ないと考えられるものは以前からクラウドを活用していました。EMMに関しても、クラウドで問題ないだろうという判断でMobileIronクラウドを利用しています」と小宮氏。

業務用アプリも、既製アプリをうまく活用している。製品情報を見せるためのカタログビュワー、入力の利便性を高めるための手書き対応キーボード、書類をデータ化するためのカメラOCRは既製のアプリをカスタマイズして、専用アプリとして展開しながら、移動をサポートする地図や乗換え案内といったものは既製アプリをMobileIronのVPP機能で配信している。

「既製アプリについても必ず手を入れてセキュリティは確保しています。たとえばキーボードの入力支援機能は便利ですが、お客さまが電話番号を入力しようとした時に他のお客さまの電話番号が表示されては困ります。そういったことが起こらないよう、カスタマイズを行っています。また、印刷に関してだけは自宅等で印刷できないよう社内のプリンタ利用を前提とした専用のアプリをインハウスで作りました」と小宮氏は細やかな気遣いを語る。

また、端末運用についても証明書認証局やVPNは各分野で特に多くの実績を持つ他社のものを利用している。さまざまな製品との連携が可能なMobileironは、自社基準に合うものをうまく組み合わせ、セキュリティと使い勝手を両立させ、納得の行くシステムを作り上げるのにも最適だった。

現場の負担を軽減し快適な働き方を実現

現在、富国生命ではiPadを利用してオンラインで逐次資料を取得し、見積もりやシミュレーションも即座に行える態勢で営業活動が進められている。

「メールはWebから利用できますし、カレンダーも予定の共有というよりは営業に有用なお客さま情報や訪問日程の表示という使い方ですがWebから閲覧できます。日報もここから作成できます。軽くて持ち歩きは楽だし、外出先でも扱いやすくなったと現場でも好評です。本格的な紛失ではなく自宅へ置き忘れた等が大半なのですが、手元にないという連絡を受けた時は即座に紛失時モードにできるのも安心です」と白坂氏は導入成功の手応えを語る。

iPad導入に合わせて契約のペーパーレス化も実施。画面上でサインするだけで即座に契約完了できるようになった。最終的に確認書類を渡す法的な規則があるため完全ペーパーレスというわけにはいかないが、試算等へのオンライン即時対応が可能になったことと併せて現場負担の大幅軽減が達成できたといえるだろう。

「現場の担当者がよりストレスなく快適に働くことができる環境が作れたということで、成功だと考えています。新しいことへの取り組みですし、思うように動かすことが難しいことも当然ありますが、MobileIronは困った時に真摯に対応してくれます。この面でも選択してよかったと思っています」と小宮氏も満足度を語ってくれた。

富国生命では今後、社内端末などより多くの端末についても新しい使い方や管理を実施する予定だという。MobileIronはそうした新しい取り組みにも貢献して行くはずだ。